賃貸物件に住んでいる方が失業などで突然お金が無くなった場合、まず困るのが家賃でしょう。

「家賃は収入の3分の1が目安」とよく言いますが、個人差はあっても家賃は支出の大部分を占めるはずです。

家賃を滞納すると、どうなるのでしょうか?

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家賃を滞納するとどうなる?

家賃を滞納すれば、大家(家主)または不動産会社や管理会社から催促の電話がきます。

催促されても払わないとなれば、強制退去や差し押さえになる可能性もあります。

家賃の催促の流れ

大家さんや管理会社などによって順番や対応内容が異なる可能性はありますが、家賃を滞納した場合、基本的に以下のような流れになります。

① 電話で催促される(滞納即日~数日)
② 手紙
③ 直接訪問
④ 連帯保証人に連絡
⑤ 契約解除・強制退去(滞納から3ヶ月以上)
⑥ 差し押さえ

1日滞納しただけで催促の電話が来る場合も

家賃はそれなりに大きな金額になるので、滞納する期間が長引くほど支払いが困難になるものです。

1月分滞納している人が翌月に2ヶ月分まとめて払うのは大変です。

大家さんや管理会社もそこは理解しているでしょう。

例えば支払日に残高不足で口座から引き落とされなかった場合、その時点で催促の電話がくることもあります。

電話がダメなら手紙や訪問も

借り主が催促の電話に出なかったり、支払うと約束したのになかなか払ってくれないとなると、手紙や訪問などで催促をします。

自分が滞納することで連帯保証人に迷惑がかかる

借り主に催促をしても、なかなか家賃を払ってくれないとなれば、請求は連帯保証人にいきます。

連帯保証人は借り主と同等の責任があるので、借り主の滞納した家賃を請求されれば支払う義務があります。

強制退去は滞納3ヶ月以上が目安

強制退去のタイミングはケースバイケースですが、過去の判例から3ヶ月以上の滞納が一般的です。

後で説明しますが、家賃を1日滞納しただけで追い出されることはありません。

強制退去の後に差し押さえになる場合も

家賃滞納で差し押さえになる場合は、最大で給与の4分の1まで強制的に徴収されることになります。

そこに住んでいる状況で差し押さえになるならまだ良いですが、強制退去を命じられた後でも大家は借り主を差し押さえることができます。

つまり最終的には、住む所と給与の一部まで取られてしまう可能性があるのです。

家賃を踏み倒した後も大変

住んでいるアパートやマンションを強制退去させられた挙句、差し押さえになれば、次に引越す場所を見つけるのも大変です。

そういった状況なら仕事をクビになるかもしれませんし、引越しや再就職をするには基本的に住所が必要です。

家賃を滞納したがために、最悪ホームレスのような状況になるかもしれません。

仮に家賃を払わずに済んだとしても、その後に生活を立て直すのが大変なのです。

家賃を滞納すると遅延損害金も発生する

家主は滞納された家賃に遅延損害金を上乗せして請求できます。

法律では、契約時の段階で遅延損害金として設定できる上限は年率14.6%

契約時に約束事を何も決めなかったとしても年率5%を上限に遅延損害金として請求できるとしています。

どの程度の期間の遅延で損害金を請求するかは家主や管理会社によりますが、何年も家賃を滞納すると、思ったより大きな額を後から請求されることもあるのです。

保証会社を利用していれば連帯保証人に迷惑がかからない?

賃貸物件の中には「連帯保証人不要」の代わりに「保証会社を利用する」という条件で契約するものもあります。

この場合、滞納しても連帯保証人(親など)に迷惑がかからないので、こちらにとって都合が良さそうな気もします。

むしろ保証会社の催促は厳しい

保証会社は、借り主が家賃を滞納した場合、家賃を肩代わりして大家に払う仕組みなので、滞納すれば大家や管理会社に代わって催促をします。

保証会社の催促(取り立て)方法は、以前の貸金業者(サラ金)のように荒っぽい手段をとることもあり、社会問題になっています。

キャッシングなどの貸金業者の場合、貸金業法で明確に禁止事項が決められ、現在は闇金でもない限り、滞納しても法的に粛々と処理されます。

しかし、家賃の保証会社のルールは現時点で明文化されておらず、違法行為の線引が曖昧な状況なのです。

深夜の訪問や電話、鍵交換などは違法行為の可能性

現状、家賃の取り立て行為において、明確な禁止事項が無いといっても、あまりやり過ぎの行為は法に触れる可能性があります。

例えば、
・深夜の訪問や電話での催促する
・勝手に物件の鍵を交換する
・勝手に家財を撤去する
・ドアに張り紙をする

といった行為です。

家賃を滞納しているこちらも悪いのですが、請求する側もやり過ぎれば
「社会通念上許容される限度を超える」
「自力救済の禁止」

といった理由で違法行為とみなされる可能性があります。

家賃に時効はある?

一般的に家賃が滞納になれば、大家や管理会社はできるだけ早期に回収しようとしますが、中には長期に渡って家賃が滞納になるケースもあります。

実は家賃も5年で時効になります。

しかし、「5年間どうにか逃げ回ったらOK」というほど簡単なものではありません。

5年以上前の分だけ時効になる

例えば、8年前から現在までの家賃を滞納していたとすれば、5年以上前の3年間は時効になり、支払う必要がありません。

しかし、今から5年前までの家賃の分は時効になってないので請求されます。

時効は中断されることも

滞納してから5年以内に以下のようなことがあれば、5年以上経ったとしても時効になっていない可能性があります。

・大家さんが訴状を提出した場合
・催促書類を内容証明郵便で受け取った場合
・借り主が1回でも(1円でも)家賃を払った場合

時効を成立させるためには、大家さん側が5年間何もしないのが大前提といえるでしょう。

「時効を利用して、法的に家賃ゼロで済ませよう!」と考える方もいるかもしれません。

しかし、やろうと思っても難しいですし、まとまった請求が来る可能性が高いので、むしろリスクは大きいのです。

家賃を督促されたら弁護士に相談するべき?

例えばキャッシングなどローン商品の利用で「返済がキツい」となれば、弁護士に相談することで、自己破産や任意整理などの債務整理で解決してくれます。

弁護士に相談することで滞納した家賃もその債務から逃れることができるのでしょうか。

家賃も債務整理が可能

滞納した家賃も債務整理の対象になります。

ですので、家賃の支払いに困ったときにも弁護士に相談する価値はあります。

家賃を債務整理した場合のデメリット

ただし、債務整理をすれば以下のようなデメリットもあります。

・その物件には住めなくなる
・自分は免責になっても連帯保証人に請求が行く
・ブラックリストに登録され新規ローンが組めなくなる

親などの身近な人が連帯保証人になっている場合、結局そっちに請求が行くので、債務整理のメリット自体が少なくなります。

しかし「任意整理」であれば、整理する債務を選ぶことができるので、「連帯保証人の無いキャッシングなどだけ整理して、家賃は債務整理しない」といったことも可能です。

また、債務整理をすればブラックになり新規で申し込むクレジットカードやローンなどの審査で落ちてしまう可能性が高いです。

しかし、信用情報機関のブラックの記録は、基本的に賃貸契約には影響ありません

債務整理をした後に別の物件に引越すことは可能です。

滞納しそうならまず連絡

「今月は払えない!」とわかった時点で大家さんや管理会社に連絡しましょう。

ローンの返済などでも同じですが、滞納する前に相談してくれた方が催促する手間が省けますし、心象も良いです。

場合によっては融通を利かせてくれる可能性もありますし、相手もプロですので双方にとってベストになるアドバイスをしてもらえるかもしれません。

管理会社より大家さんの方が融通が効く?

よくテレビで芸能人が下積み時代に「大家さんに家賃を○ヶ月待ってもらって感謝している」といったエピソードを聞きます。

大家さんに直接家賃を払う場合、会社の規定通りに催促してくる管理会社より融通が利きそうですが、そうとも限りません。

物件を所有している大家さんにとって収入が賃貸収入だけの場合もあります。

管理費や税金などさまざまな出費がある中で借り主の誰かが賃料を滞納すれば、それが大家さんの生活に直結します。

住んでいる側からすれば「たった1室くらい滞納しても…」と思うかもしれませんが、賃貸経営は結構シビアなのです。

基本的な対応は大家さんも管理会社も同じと考えていいでしょう。

滞納1ヶ月くらいでは強制退去にはならない

大家さんや管理会社に連絡し、「家賃が払えない」と言えば「今すぐ出て行け!」となるかもしれない…

そういった不安で支払いを放置してしまう方もいるかもしれませんが、たった1月分の家賃の滞納で強制退去になることはほとんどありません。

信頼関係破壊の法理

アパートやマンションを借りる時に賃貸借契約を結びますが、その契約の中には家賃を滞納する側にとって有利な内容もあります。

それが民法で定める「信頼関係破壊の法理」です。

信頼関係破壊の法理をざっくり言うと、
借り主が大家さんの信頼関係を損なわない限り、大家さんは借り主を追い出すこと(契約解除や強制退去)ができない。
というものです。

ではどうなると「信頼関係が損なわれた」となるのかというと、家賃滞納であれば3ヶ月以上が目安です。

この法律があるので、1~2ヶ月程度の滞納でさらに家賃が払えないと相談しているなら強制退去になることは基本的に無いと考えていいでしょう。

そういった点も含めて、滞納しそうならまずは大家さんや管理会社に連絡をしたほうが良いのです。

滞納しそうなら引越すべき?

「信頼関係破壊の法理」という法の下で、ちょっとくらい滞納してもすぐには追い出されることはありませんが、滞納分が免除されるわけではありません

例えば今月の家賃の5万円が払えなかったとすれば、来月10万円、再来月なら15万円払わなければなりません。

負担はどんどん大きくなってきます。

収入が減ったのなら、家賃の安い物件に引越すべきではありますが、引越し自体にけっこうお金がかかります。

そういった事情で「引っ越せない」+「今の家賃を滞納する」という悪循環になってしまうのでしょう。

「住居確保給付金」を活用する!

例えば突然失業したとしても、ある程度の期間は失業保険をもらえるので、いきなり家賃の支払いに困ることはないかもしれません。

しかし失業保険の受給期間が終わった方や、そもそも失業保険をもらえない方はバイトでもしない限り、いよいよ家賃の支払いに困ってしまいます。

そういった状況で活用できるのが「住居確保給付金」という制度です。

住居確保給付金とは

住居確保給付金は以下の金額を上限に給付されます。
単身者:53,700円
2人世帯:64,000円
3人~5人世帯:69,800円

(参照:台東区

65歳未満でハローワークで求職活動をしていて、収入が規定の上限以下であれば対象になります。

この制度は「給付金」なので、後で返済する必要はありません。

滞納し続ければ、後でまとめて自分や連帯保証人が請求されますし、キャッシングローンで借金して家賃を払ったしても、後で返済が大変です。

住居確保給付金は、家賃が払えない方にとってメリットの大きい制度といえるでしょう。

まとめ

今回、家賃を滞納した場合の一般的な例を説明したので、大家さんや管理会社によっては対応が良かったり悪かったりの差はあるかもしれません。

しかし、あまりに長期的に滞納すれば、双方にメリットが無いのは明白です。

失業などで突然収入が減ったのであれば、その時点で引越しや補助金などを検討し、「滞納を避けること」がベストでしょう。

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