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年金の未納問題が話題になることがありますが、どうして未納になってしまうのでしょうか?

また、年金の未納(滞納)を続けるとどうなるのでしょうか?

今回は、年金未納問題について詳しく説明していきたいと思います!

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未納で問題になっている年金の種類

未納で問題になっているのは国民年金ですが、その中でも特定の種類の方です。

国民年金には以下の3種類あります。

・第1号被保険者:自営業者、学生、フリーター、無職の方などが対象
・第2号被保険者:会社員、公務員など厚生年金加入者
・第3号被保険者:第2号被保険者の配偶者(年収130万円未満)

会社員や公務員などは、厚生年金として給料から引かれるので基本的に未納になることはありません。

未納や滞納をするのは、自営業者やフリーター、学生など第1号被保険者の方が圧倒的に多いのです。

なぜ年金を納めていないのか?

年金保険料は年齢によって納付状況に特徴があります。

厚生労働省が平成26年度に第1号被保険者についての納付状況を調査した年代別の納付率が以下になります。


20~24歳:23.7%
25~29歳:39.4%
30~34歳:48.5%
35~39歳:52.5%
40~44歳:53.6%
45~49歳:53.6%
50~54歳:58.9%
55~59歳:64.6%

(参照:厚生労働省

20代、30代、40代、50代と、世代が高くなるにつれて納付率も高くなります。

年金が支払えない理由のデータを見てみると「経済的に支払うのが困難」が全体で約67%と大きな割合を占めており、どの世代でもこの理由がトップです。

つまり、若い世代ほど納付率が低いのは「収入が低いから」と考えられます。

「年金は今納めても将来もらえるかどうか不安」といった話もよく耳にしますが、そういう理由で未納の方は意外と少ないのです。

ちなみに平成28年度現在、年金の第1号被保険者の保険料は月16,260円です。

年金未納の人ってどれくらいいる?

国民年金第1号被保険者できちんと納付している割合は対象者全体の47%です。
つまり、全体で半分以下の人しか納付していないのです。

全体の53%の人がきちんと納付していないことになりますが、内訳は以下のようになります。

・滞納23.1%
・免除15.7%
・学生納付特例11.3%

(平成26年度、厚生労働省調べ)

後ほど説明しますが、年金には「免除」などの制度がありますが、2割以上の人がそういった制度も利用せず、単に払っていないか遅れている状態なのです。

年金保険料未納だとどうなる?

国民年金は日本に住所がある20歳以上60歳未満のすべての方が加入する義務があります。

しかし現実的には、第1号被保険者の場合は半分くらいが未納もしくは免除などで収めていない状況です。

義務である年金を納めないとどうなるのでしょうか?

「老後に年金が貰えない」だけじゃない

国民年金をあえて納めていない方の中には「老後は自分の貯金だけで生活する!」と覚悟を決めている方もいるかもしれません。

しかし年金を納めないと、老後に受給できる老齢基礎年金が貰えないことに加え、以下のものも受給できなくなる可能性があります。

・障害基礎年金
・遺族基礎年金

障害基礎年金とは

年金加入期間の3分の2以上納付している(免除期間含む)という条件はありますが、病気などで障害と認められれば「障害基礎年金」を受給できます。

障害第1級であれば、年間約97万円、2級であれば約78万円、さらに子供がいれば一人あたり約22万円加算(3人目以降は約7万円加算)されます。

遺族基礎年金とは

年金加入期間の3分の2以上納付している(免除期間含む)という条件はありますが、年金加入者が死亡すれば、その配偶者が「遺族基礎年金」を受給できます。

配偶者は年間約78万円、さらに子供がいれば一人あたり約22万円加算(3人目以降は約7万円加算)されます。

障害基礎年金も遺族基礎年金も年金加入期間(20歳から現在まで)の約3分の1は滞納しても受給できますが、それ以上になるとその資格は無いのです。

未納を続ければ差し押さえになる場合も

年金保険料を滞納すると「払いなさい」と催促されますが、催促は段階的に行われ、最終的には差し押さえになる場合もあります。

具体的には以下のようなステップになります。

① 催告状
② 特別催告状
③ 最終催告状
④ 督促状
⑤ 差し押さえ予告通知
⑥ 差し押さえ実施

それぞれのプロセスについて説明します。

①催告状

国民年金の支払いは翌月末が期日なので、例えば4月分なら5月末までに支払う必要があります。

納付期日を過ぎると「催告状」という書類が届きます。

まだこの段階では、単に「うっかり忘れてた」という理由で納付しなかった方も多いでしょうから、内容的には「支払い方法の案内」程度のものです。

催告状の案内に従って納付すれば特にペナルティなどはありません。

まだスルーしても大丈夫?

例えば、転職などのタイミングで一時的にお金が無い場合、消費者金融などから借りてまで保険料を納める必要があるでしょうか?

この段階ではまだ遅延金などのペナルティもありませんし、平成27年10月~平成30年9月までの3年間は5年前までさかのぼって納付が可能です。

借金をするくらいなら、一時的に滞納にして後から納付したほうが賢明でしょう。

委託業者から電話が来る場合も

年金の催促は郵送だけではなく、電話で来る場合もあります。

その場合、日本年金機構から委託された民間企業のコールセンターからかかってきます。

郵送と違い、電話での催促は精神的にもプレッシャーになるでしょう。

そういった電話が嫌であれば、日本年金機構に直接相談し、納付や免除などの対処をする必要があります。

②特別催告状

普通の「催告状」を無視して未納を続けると、次に届くのが「特別催告状」です。

しかしこれは「所得が400万円以上で、13ヶ月以上滞納の方」が対象になるので、それに該当しない方は飛ばして③のステップになります。

上記の条件からもお分かりかもしれませんが、それなりに収入があるのに払ってない方のほうが年金の催促は厳しくなる傾向があります。

③最終催告状

催告状、もしくは特別催告状を無視し続けると来るのが「最終催告状」です。

「最終」とは言いますが、実際には最終ではありません

この後にはまだ次のステップがあります。

基本的な内容としては催告状や特別催告状と同様に、「指定の期日までに納付してください」というものです。

しかし、「納付も連絡もない場合は取引先や勤務先も調査します」と、一歩踏み込んだ内容になっています。

後で説明しますが、「勤務先の調査」とは差し押さえの準備でもあります。

この書類が届いた段階でなるべく納付、それが無理ならせめて日本年金機構の担当者に相談くらいはしたいものです。

④督促状

催告状を無視し続けると、「催告」という言葉から「督促」という言葉に変わります。

督促状の内容としては、「指定の期日までに納付してください」と、今までと大きな違いはありませんが、督促状で指定された納付期日を過ぎれば、最大で年率14.6%の遅延金が発生します

年率14.6%というと、メガバンク系のカードローンでキャッシングするのとほぼ同等の金利です。

⑤差し押さえ予告通知

差し押さえ予告通知が来ると、文字通り「差し押さえの一歩手前」の段階です。

差し押さえとは法的な手段を使って年金保険料の滞納分を徴収するものです。

「差し押さえは勘弁して欲しい」のであれば、この通知の期限がラストチャンスになります。

⑥差し押さえ実施

差し押さえ予告通知の期限を無視すると、差し押さえになる可能性があります。

特に現在、日本年金機構では、「所得400万円以上、未納13ヶ月以上」の方の徴収に力を入れています。

平成27年度では上記条件の未納者14,508人に対して3,046人から差し押さえを実施、年金を徴収しました。

比較的所得が少ない人は差し押さえまでにはならない可能性もありますが、今後も納付率が下がれば、差し押さえ対象の幅が広くなることは十分ありえます。

差し押さえを回避するには

差し押さえられるものは、給与や銀行口座、不動産などになりますが、本人だけでなく、連帯納付義務があるので、親の財産まで差し押さえられる可能性があります

自分以外にも迷惑がかかる可能性もあるので、支払えるのであれば、差し押さえされる前に支払うべきでしょう。

しかし、支払いが困難であれば、免除などの制度を活用できます。

年金保険料の支払いが困難な場合

年金保険料の支払いが困難な場合に利用できる制度が以下の2つの方法です。

① 免除
② 猶予

①年金の「免除」とは

年金保険料の支払いが免除される基本的な条件は、
・第1号被保険者であること

さらに以下のいずれかに該当する場合です。
・前年度の所得(本人・世帯主・配偶者の)が基準以下であること

免除には、

・全額免除
・4分の3免除
・半額免除
・4分の1免除

の4種類あります。

あとで説明しますが、免除の割合によって、受給できる年金額に差が出ます。

年金保険料の納付が免除になる所得

控除額にもよるのでおおよその目安になりますが、各所得でどの程度免除されるかが以下になります。

全額免除 4分の3免除 半額免除 4分の1免除
世帯数 所得基準
単身者 57万円 93万円 141万円 189万円
2人世帯
(夫婦のみ)
92万円 142万円 195万円 247万円
4人世帯
(夫婦、子供2人)
162万円 230万円 282万円 335万円

(参照:日本年金機構“ 保険料を納めることが、経済的に難しいとき”

失業した場合の免除

基本的に年金保険料の免除は「前年度の所得」が基準になりますが、失業した場合は本人以外の世帯所得が基準になります。

例えば、前年度の所得が400万円のご主人と奥さんの世帯であれば、ご主人が失業すれば奥さんの所得だけがカウントされます。

奥さんが全くお仕事をしていない専業主婦であれば、所得は0円なので「全額免除」の対象となります。

免除は年金加入期間としてカウントされる!

年金は滞納している状況なら加入期間としてカウントされず、加入期間が足りずに年金が受給できない可能性があります。

「免除」にすることで、その期間も年金の加入期間としてカウントされ、さらに障害基礎年金や遺族基礎年金の受給資格期間としてもカウントされます。

放置して滞納の状態にするよりもメリットが多いのです。

免除した場合に支給される金額

一定期間年金の納付を免除すれば、免除した割合に応じて受給できる金額に影響します。

以下は、全額納付した場合に受給できる金額に対しての割合です。

全額免除: 1/2支給(平成21年3月分までは1/3)
4分の3免除: 5/8支給(平成21年3月分までは1/2)
半額免除: 6/8支給(平成21年3月分までは2/3)
4分の1免除: 7/8支給(平成21年3月分までは5/6)

免除の状態にすれば、最低でも1/2は支給されるのです。

②年金の「猶予」とは

年金の支払いが猶予される基本的な条件は、
・第1号被保険者であること

さらに以下のいずれかに該当する場合です。
・前年度の所得(本人・配偶者の)が基準以下であること

年金の猶予とは、「一定期間年金の支払いをしなくても良い」というものですが、「全額免除」とかなり似ています。

免除と猶予は何か違うのでしょうか。

「全額免除」と「猶予」の違い

全額免除 猶予
年齢 制限なし 50歳未満
所得基準 本人・配偶者・世帯主 本人・配偶者
所得基準(単身者) 57万円 57万円
年金受給額 1/2支給

免除の場合は年齢制限はありませんが、猶予は50歳未満(平成28年7月より30歳から50歳未満に拡大)と制限があります。

免除の所得基準は「本人・配偶者・世帯主」の合計で世帯所得としてカウントされますが、猶予の場合は「本人・配偶者」のみでカウントされます。

つまり、猶予の方が所得基準のハードルが低く、より多くの方が対象となるのです。

しかし免除の場合、支払いが無くても国庫から最低2分の1が支給されますが、猶予の場合は年金額へ反映されません

この点を踏まえると免除のほうがお得と言えます。

猶予も免除同様に年金の加入期間としてカウントされ、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給資格期間としてもカウントされます。

また、失業した場合は本人の所得を含まずに世帯所得がカウントされるのも免除と同じです。

学生なら「学生納付特例制度」が利用できる

国民年金は20歳から加入が義務ですが、大学生などまだ定職に就いていない方も多いでしょう。

学生の場合も所得基準に応じて猶予が可能ですが、基準となるのが本人の所得のみなので、よりハードルは低くなります。

学生納付特例制度の所得基準:118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等

所得基準が本人のみなので、同居している親がどんなに高所得者であっても、本人の所得が基準以下であれば、猶予の対象になるのです。

免除や猶予の後は「追納」ができる

「免除」や「猶予」といった制度は、経済的に支払いが厳しい時に有効な手段ですが、普通に納付してきた方に比べて老後の受給額が少なくなるのが欠点です。

年金は免除や猶予で支払わなかった分を過去10年さかのぼって支払える「追納」という制度があります。

「今は年金の支払いは厳しい」という場合、とりあえず「免除」または「猶予」の状態にし、お金に余裕ができた時点で「追納」すれば、満額に近い年金を受給することが可能になるのです。

3年以上前の保険料は加算される

注意したいのが、3年以上前の分は保険料が加算されます。

古い分ほど割高になってしまうので、なるべく3年以内に追納したほうがお得なのです。

いつまでさかのぼって納付できる?年金の時効について

上記で「追納」の制度について説明しましたが、それとは別に「後納」という制度もあります。

基本的に年金を徴収できる時効は2年です。

2年前までの保険料であれば、支払期限の切れた納付書でも普通にコンビニなどでの支払いができます。

しかし2年以上前の年金保険料の支払いをしたい場合、「追納」または「後納」の制度を利用することで可能になります。

「追納」と「後納」、かなり似ていますが何が違うのでしょうか?

「追納」と「後納」の違い

追納 後納
対象 免除・猶予の方 未納・滞納の方
遡れる期間 10年前の分まで 5年前の分まで

ざっくりいうと、免除や猶予の状態だった方は過去10年前までの年金を支払えますが(追納)、未納や延滞だった方は5年前までの分までしか支払えない(後納)ということです。

ただし、後納の「5年前まで」は、平成27年10月1日から平成30年9月30日までという条件付きです。

平成30年9月30日以降は後納できる期間が短縮される可能性はあります。

(参照:日本年金機構 ”国民年金保険料の後納制度”

まとめ

日本年金機構では、保険料を免除や猶予にできる所得基準を定めてはいますが、年金の納付が負担になっているのは低所得者だけではないかもしれません。

年金を納付できない理由として多くの方が「経済的に余裕がない」としているからです。

将来年金を受給したいかどうかはさておき、老後に安定した生活をするには今現在のやりくりが重要になってくるのではないでしょうか。

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