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「奨学金の返済に苦しむ人が多い」といったニュースをたまに目にしますが、どうしてそういったことになるのでしょうか。

奨学金の実態と対策について解説していきます!

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奨学金とは

奨学金とは、経済的な理由で大学などに進学するのが難しい方を対象に、学費や生活費を目的としたお金を「貸与」または「給付」するものです。

「給付型」の奨学金は返済する必要はありませんが、「貸与型」の奨学金は返済する必要があり、言い換えれば借金のこと。

奨学金は、公的団体や民間団体、大学や高校、地方自治体などで利用できますが、なかでも日本学生支援機構の奨学金制度が最も一般的です。

日本学生支援機構の奨学金の場合、海外留学目的以外は「貸与型」になるので、奨学金を利用する方の多くは借金を抱えるような状況になります。

今回は、一般的に知られている日本学生支援機構の奨学金を中心に話を進めていきます。

奨学金の借入総額平均は312.9万円

中央労福協(労働者福祉中央協議会)が2015年に実施したアンケート調査の結果をいくつかご紹介します。

34歳以下では2人に1人が学生時代に奨学金を利用しており、その借入総額は平均312.9万円ということです。

つまり、大学生や大学院生の約半数が平均約300万円もの借金をしているのです。

(参照:中央労福協(労働者福祉中央協議会)

月々の返済金額の平均は約17,000円

月々の返済額は借入額や利率によって算出されますが、平均で約17,000円ということです。

もちろん、奨学金として借入れた額が大きければ、返済額は2万円や3万円と大きくなる可能性はあります。

返済が苦しいと感じているのは約4割

過去に奨学金を利用し、現在返済している方の中では正規社員で37%、非正規社員で56%、平均約4割の方が「返済が苦しい」と感じているのです。

非正規社員に限らず正規社員でも、入社したてのころはそれほど手取りは多くありません。

毎月2万円近い金額を返済にあてていくのは大きな負担でしょう。

結婚に影響すると感じているのは約3割

同様のアンケートでは、奨学金の返済が生活設計に影響を及ぼすものとして、「結婚」が31.6%、「持家取得」が27.1%、「子育て」で23.9%となります。

後ほど説明しますが、奨学金の返済はかなり長期になります。

生活設計に影響するのは当然と言えるかもしれません。

返済はいつからいつまで?

奨学金の返済の開始月は、貸付が終了してから7ヶ月目からです。

「貸付が終了」は卒業や中退のタイミングになるので、例えば2017年の3月に卒業であれば、同じ年の10月から返済が始まることになります。

在学中や、就職して初任給からいきなり返済ではないので、その点は良心的と言えるかもしれません。

返済期間は個人差がある

どれくらいの期間で奨学金を返済するかは、借入金額にもよるので個人差が出てきます。

おおよそ目安をつけるのであれば、日本学生支援機構のサイト内にある「奨学金貸与・返還シミュレーション」で算出できます。

(参照:日本学生支援機構「奨学金貸与・返還シミュレーション」

試しに4年制大学(学部)で利率1.0%(第二種奨学金)、借入金額8万円(月額)と入力すると、借入総額は384万円で、返済回数は240回(月々約18,000円返済)になります。

返済期間としては20年間になるので、大学を卒業して22歳で返済を開始したとすれば、返済が終わるのが42歳です。

上記は一例ですが、おおむね15年~20年が奨学金の返済期間の目安になります。

ちなみに中央労福協のアンケートでは、返済についてあまり理解していなかった方は約4割でした。

「みんなが利用しているから」、「就職すれば普通に返せるもの」という認識で利用する方も多いのかもしれませんが、「思ったより返済が長期」になるかもしれません。

繰り上げ返済は可能

22歳くらいの方にとって、返済を40歳くらいまで続けるのは、ちょっと気の遠くなるような話かもしれません。

一昔前のように一つの会社で定年まで働くことができるかどうか分からない時代ですので、「もしかしたら返済途中で無収入になる」といった不安もよぎるでしょう。

奨学金定められた返済額より多く返す「繰り上げ返済」も可能です。

繰り上げ返済をすることで、例えば最初は20年間の返済期間の予定だったものを、10年間に縮めるといったことが可能です。

繰り上げ返済はWeb上で申請できる

日本学生支援機構の奨学金には利用者専用サイトがあり、住所などの個人情報の変更や繰上返還の申請などができます。

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(参照:日本学生支援機構「スカラネット・パーソナル」

日本学生支援機構の「スカラネット・パーソナル」では、自分の奨学金情報などを気軽にチェックできます。

スカラネット・パーソナルでは口座変更はできない

クレジットカードやカードローンならWeb上で銀行口座の変更までできてしまう場合も多いですが、スカラネット・パーソナルでは口座変更までは残念ながらできません。

振込用の口座変更希望の場合、在籍している大学などに振込口座変更届を提出する必要があります。

返済用の口座変更希望の場合は、銀行窓口もしくは郵送で手続きする必要があります。

奨学金を一括返済するメリットはあるのか

基本的に借金には利息は発生しますが、負担を抑えるには「できるだけ早く完済する」のが最も有効な手段です。

そしてその究極の方法といえるが一括返済です。

奨学金を返済中の方の中には一括で返済できるだけの貯金がある方もいるかもしれません。

利息の負担を軽くするために一括返済をすべきでしょうか?

奨学金の金利は他のローンよりも低い

奨学金も「借金」ではありますが、他のローンと比較すれば金利はかなり低いはずです。

奨学金を完済した後で何か別のローンを利用することになれば、むしろ損になるかもしれません。

奨学金の金利

では、日本学生支援機構の奨学金の金利を確認してみましょう。

日本学生支援機構の奨学金は基本的なタイプとして2種類あります。

・第一種奨学金(無利息)
・第二種奨学金(利息あり)

第一種奨学金は借りた分は返さなくてはなりませんが、無利息(利率0%)なので、他のどんなローン商品よりも低金利になるはずです。

第二種奨学金は利息が発生しますが、利率は2タイプあり、利率(年利)は以下のようになっています(増額貸与分は+0.2%)。

・利率固定方式:利率0.16%
・利率見直し方式:利率0.10%

※2016年10月現在

(参照:日本学生支援機構

利率固定方式は貸与終了月(卒業時など)時点の利率がそのまま返済終了まで続くというものです。

利率見直し方式は毎年金利が見直し(変更)され、社会情勢によって上がったり下がったりしますが、運が良ければ利率固定方式より低利率で利用できます。

結果的にどちらがお得になるかは分かりませんが、両方とも上限は3%と決まっているので、想定外に高額な利息を請求されることはありません。

金融会社のローン商品の金利

「金融会社のローン商品」といってもかなり幅広いですが、今回、三菱東京UFJ銀行の各種ローンと消費者金融アコムのキャッシングと日本学生支援機構の奨学金を比較してみます。

 

  ローン種類 金利(年率)
奨学金 日本学生支援機構
(第一種)
0%
日本学生支援機構
(第二種)
0.10%~0.16%
三菱東京UFJ銀行 住宅ローン 2.475%~4.4%
住宅諸費用ローン 4.475%~6.2%
教育ローン 3.975%~4.475%
リフォームローン 2.875%~2.975%
マイカーローン 2.975%~6.475%
多目的ローン 5.475%~7.975%
カードローン
「バンクイック」
1.8%~14.6%
アコム カードローン 3.0%~18.0%

※2016年10月現在

(参照:三菱東京UFJ銀行
(参照:【アコムカードローン】審査から金利、返済までを徹底チェック
(参照:ローンの種類について

奨学金はローン他のローンと比べてかなり低金利であることがお分かりいただけるでしょう。

奨学金を完済してから別のローンを組むと、わざわざ金利の高いローンに乗り換えるような状況になります。

住宅や車の購入でローンを組むといった方は、今ある現金をなるべくそちらに活用し、奨学金の返済は後回しにしたほうがいいのです。

条件次第で免除や減額になる?

他のローンと比べて利息の負担が少ない奨学金ではありますが、基本的には最低でも借りた分は返さなくてはなりません

しかし、奨学金には「減額」、「期限猶予」、「免除」といった制度があります。

場合によっては全額返済しなくても済むのでしょうか?

奨学金の「減額」とは

奨学金の返済が苦しい場合などは返済額を半額に減額できる制度があります。

これだけ読むと「300万円借りていたものが150万円の返済で済むの?」と思うかもしれませんが、そうではありません。

半額になるのは毎月の返済額で、返済額の総額は変わりません。

毎月の返済額が半額になれば、返済期間は倍になってしまいます。

一回の申請で、6ヶ月分の返済を12ヶ月かけて返済することが可能で、それを最大10回行うことができます。

ただし、原則的に経済的理由(給与所得300万円、給与所得以外の所得を含む場合200万円)や、災害、傷病など、返済が困難と認められた場合でないと利用できません。

奨学金の「期限猶予」とは

「減額」が返済額を半分にできるのに対し、「期限猶予」は返済を一時的に0円にできるものです。

経済困難、災害、傷病、失業などの理由で返済が困難な場合に申請し、認められれば、原則的に最長10年返済をストップできます。

「期限猶予」も返済を延期するだけで、返済金額自体が減るわけではありません。

例えば、本来40歳で返済が終わる予定だったのが、30歳~40歳は返済せずに40歳~50歳まで返済するといったイメージです。

奨学金の「免除」とは

日本学生支援機構の奨学金の第一種、第二種で共通して奨学金が免除される条件が以下になります。

・死亡した場合
・精神若しくは身体に障害があり返済できない場合

と、返済に困った場合にやろうと思ってできることではありません。

第一種は業績で免除される可能性が

「減額」や「期限猶予」など説明してきましたが、健康な状態で借入額を減らせる唯一の方法がこれです。

条件としては以下になります。

・奨学金第一種であること
・学問分野や文化・芸術・スポーツで優れた業績をあげた者

奨学金第一種は無利息で利用できるものですが、そもそも利用条件として経済的理由のほか、特に優れた成績が無いと利用できません。

その奨学金第一種を利用していて、さらに在学中に大学側から免除の推薦をされるほどの業績をあげなければならないので、ハードルは高いです。

平成27年度の実績として、免除者数は8,641人(全額免除2,880人、半額免除5,761人)。

第一種の貸与終了者数28,806人に対して上記の数字なので、第一種であれば、3分の1近い方は免除されていることになります。

しかし奨学金利用者の多くは利息がある方の第二種を利用しているのが現状ですし、第一種の方でも返済に困った段階で免除にすることはできません。

返済に苦しまないための対策

奨学金と一般のローンの大きな違いは、一般のローンは現在の収入を踏まえて借りるのに対し、奨学金はまだ定収入がある前の段階で借りれてしまう点です。

「就職したらだいたい手取りが○○万円で、ボーナスがこれだけあって…」と思い描いて借りたとしても、実際そうはなるとは限りません。

金利が他のローンと比べて低いとはいえ、奨学金が「借金」である以上、返済に苦しまないための大前提は「借りすぎないこと」です。

借りすぎないための「減額」

奨学金は最初にいくら借りるかを決めると、毎月同じ額を借り続ける状況になります。

日本学生支援機構の奨学金の第二種であれば、3万円、5万円、8万円、10万円、12万円から選択ができます。

例えば、10万円であれば4年で、10万円x12ヶ月x4年間=480万円もの借金を抱えることになるわけです。

10万円を選択した方でも「わりと余裕があるので10万円もいらない」状況になるかもしれません。

もし余裕があるなら、奨学金を減額するべきでしょう。

学校から「奨学金貸与月額変更願(届)」を取り寄せ、それを提出することで途中からでも貸与額の変更(減額)ができます。

奨学金も債務整理できる

奨学金の返済額の平均は約17,000円と上記で説明しました。

「月に17,000円くらい返せるだろ?」と思うかもしれませんが、、返済期間が15年や20年といった長期に渡るので、その間に別のローンを利用することは十分ありえます。

借金に苦しむ方の多くは「多重債務」であり、1社あたりの返済額がそれほど高額でなくても、それが複数になれば返せなくなってしまうのです。

奨学金も借金地獄の一つの要因に十分なり得るのです。

債務整理する場合の注意点

奨学金利用する際に保証金を払えば「機関保障制度」が利用できますが、そうでなければ人的保証になります。

人的保証の場合、基本的に親や親族が連帯保証人や保証人になりますが、自己破産などをすれば、その請求が親や親族に行ってしまいます

債務整理にもいくつか種類がありますが、「親などに迷惑をかけたくない」のであれば、任意整理がおすすめです。

任意整理であれば、「奨学金だけを債務整理しない」といった選択が可能なので、他社のキャッシングなどだけを債務整理し、奨学金は今まで通り返済することができるのです。

しかし、債務整理をすれば、信用情報機関に記録が残り、いわゆる「ブラック」になってしまいます。

新たにクレジカードやローンが組めない状況が5年くらい続くことになるので、あくまでも最終手段と考えたほうがいいでしょう。

奨学金の場合は「返済額の減額」や「期限猶予」といった一般的なローンにはない制度があるので、まずはそういったものを最大限に活用すべきでしょう。

(参照:債務整理のメリット、デメリット
(参照:任意整理とは
(参照:ブラックって何?意外な理由にも要注意

まとめ

奨学金の制度は、「お金が無くても平等に学ぶことができる」という趣旨のものですので、できれば返済の必要がある「貸与」ではなく「給付」が理想的ではあります。

しかし、現状ではほぼ「奨学金=借金」です。

「奨学金」という名称につい安心してしまうかもしれませんが、利用する際には返済のことまできちんと把握することが重要です。

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