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クレジットカードや一部の学生ローンでは18歳や19歳でも利用できるものもありますが、大手のカードローンで20歳未満でも利用できるものはまず存在しません。

お酒やタバコは法律で20歳からと決められているのは常識ですが、なぜカードローンが20歳からなのか知っている人は少ないのではないでしょうか。

(参照:カードローン申し込みに必要な条件とは

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未成年とは契約が成立しない

カードローンが未成年者を申込み対象としていないのにはまず法的な理由が影響していると考えられます。

どういった法律が影響しているのか説明していきます。

親の同意が無いと未成年との契約は成立しない

ちょっと難しい話になりますが、民法第5条に以下のような記述があります。

・未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない(民法第5条第1項)

要は、「未成年が契約をする場合には、親権者の同意が必要です。」ということです。親が子供の契約時にサインするという状況はよくあることでしょう。

未成年者の契約は取り消すことができる

では、仮に親権者の同意なしに未成年がカードローンの契約をして実際に借り入れた場合どうなるのでしょうか。

・規定に反する法律行為は、取り消すことができる。(民法第5条第2項)
・行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。(民法第120条第1項)

つまり、「未成年者自身や親権者が契約を取り消すことができる」ということです。

契約を取り消すというのは、例えば、お金を借りた後に返す必要があるのか、無いのか?

・取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。(民法第121条 取消しの効果)

「現に利益を受けている限度」というのがちょっとわかりにくいのですが、

“未成年者が受取った商品やサービスは、「現に利益を受ける範囲で」返還すればよく、現に利益が残っていなければ返還する必要はありません。
たとえば、健康食品を購入して一部を食べてしまっても、未成年者は残っている健康食品を返還すれば足りることになります。”

(参照:東京くらし

東京都のホームページでは上記のような説明があります。
ざっくり言うと、返せるものがなければ返さなくてもいいということです。
しかし、もし裁判で争うようなことになれば、事例ごとの判断になり、場合によっては金銭を返済しなくてはならない可能性はなくもありません。解釈にもよるのでややグレーな部分といえます。

いずれにしても、カードローン側からすれば、貸し倒れになるリスクがあるということです。

ちなみに、未成年者の契約を取り消す場合は、単に放置するのではなく、書面などで契約取消しの旨を債権者に通知をする必要があります。

また、結婚している方は20歳未満でも成人扱いになるので、上記のような契約取消しの権利は原則的にありません。

カードローンはなぜ親権者の同意のもと融資しないのか

カードローン会社としては、「親権者の同意」さえ得られれば、未成年でも問題なく融資することができるわけです。実際クレジットカードなどはそうして未成年と契約しています。

カードローンはなぜ、そういった手順を踏んで融資しないのでしょうか。利用者が多ければそれだけ利益を上げることができそうなものです。

しかし、若い世代に「親権者の同意」というプロセスを経てまで融資するのは、貸し倒れのリスク以前に、業務効率悪化というデメリットがあります。

例えば、収入の無い専業主婦にも融資できる「配偶者貸付」という制度がありますが、実際ほとんどの大手カードローン会社ではこれを利用できません。専業主婦は利用不可としています。

「配偶者貸付」は特別な書類などが必要になったり、配偶者という申し込み者以外の第三者が介入するので、処理やトラブルが倍増するということは想像に難しくありません。

一般の申し込み者に比べて、対応が面倒なのです。

いっそ専業主婦はカットして、一般の利用者だけに注力したほうがいいという考えなのでしょう。

未成年者に対してもそういった部分で専業主婦と同様と考えられます。同意書や、親権者という第三者が介入すれば、それなりにコストが掛かったりなどのデメリットがあるのです。

(参照:専業主婦でも借りられるカードローン

クレジットカードはなぜ未成年でも利用できるのか

未成年の場合、カードローンはダメで、なぜクレジットカードなら未成年でも利用ができるのでしょうか。

カードローンとクレジットカードの根本的な違い

カードローンというのは基本的にはお金に困っている人が利用するものです。しかし、クレジットカードは、

・支払い方法として便利
・ステータスがある

といったカードローンとはまた別の理由で所有しているものです。

年会費だけで数万円もするクレジットカードがざらにあることを考えれば頷けると思います。年会費のあるカードローンはありません。

また、一時的に利用するカードローンと違い、クレジットカードというのは一生レベルで持つものです。

クレジットカード会社としては、なるべく早い段階でその人にとっての最初の1枚を契約させれば、その先何十年も利用してくれる可能性があるのです。

そういったことを考えれば、親権者の同意というプロセスも決して面倒ではありません。、クレジットカード会社側としては、十分元が取れるということです。

キャッシングとショッピングの違い

クレジットカードでも未成年の場合、キャッシングを利用できる可能性は低いです。できても5万~10万円くらいでしょう。

ちなみに、未成年がクレジットカード申し込み時にキャッシング枠を希望すると審査に落ちやすいというのは有名な話です。

つまり、結果的にショッピング専用カードになるケースが高いということです。そういった違いもあります。

(参照:カードローンとクレジットカード

学生ローンはなぜ未成年に融資するのか

では、最後に学生ローンです。

学生ローンとは、大学生や専門学校生を専門に融資をしている貸金業者です。

公的融資の奨学金などと違い、授業料や学費などに限らず、生活費や交際費など使い道が自由なので、「ちょっとバイト代が足りない」といった場合に気軽に借り入れできる貸金業者です。

学生ローンでも、その多くは20歳以上の収入がある方が申込み対象になります。

しかし、一部の学生ローンでは18歳や19歳の未成年にも10万円程度が上限額になりますが、親権者の同意なしの融資をしています。

アコムやプロミスといった大手消費者金融カードローンがしないことをなぜしているのでしょうか。リスクは無いのでしょうか。

(参照:学生ローンとは

学生ローンが未成年に融資する理由

中小規模の貸金業者である学生ローンは、大手カードローンとの差別化を図る必要があります。でないと集客できないからです。

それは返済方式の違いであったり、金利をやや下げたりなどになります。それに加えて20歳未満でも利用できるというのもセールスポイントになるのです。

また、学生ローンは未成年であっても基本的に学生のみを対象としています。

普通に考えれば学生=収入が少ない=返済能力が無いとなるかもしれません。

しかし、学生=フルタイムで仕事をしていない=それでも生活できる=親が面倒を見ていると捉えることもできます。

つまり、誰の支援も受けていない、自分の収入だけで生活しているフリーターよりも回収できる可能性が高いと考えられることもできるのです。

親権者の同意が不要の学生ローンは踏み倒せるのか?

親権者の同意を得ていない未成年者の契約は取り消すことができると法律で認められています。

18歳や19歳の未成年なら学生ローンからお金を借りて、契約を取り消せば、返済しなくて済むのでしょうか。

未成年者契約の取消しは「現に利益を受ける範囲で返還」になりますので、借りたお金は浪費したとし、購入した現物も残ってないということであれば、何も返さずに済む可能性もあります。

実際に学生ローンの借金を踏み倒せる可能性はあるのです。

学生ローン側にリスクは無いのか

未成年に親権者の同意なしで融資する場合、学生ローンでは10万円を上限としている場合が多く、実際に借りられるのはそれ以下の数万円程度になるでしょう。

また、契約を取り消される可能性もあるということであれば、審査がやや厳しくなるということも想定できます。

未成年で学生ローンから借りた人の中で、実際にこういった法律な知識がある方、更にその中で実際に契約を取消し踏み倒す人というのはおそらく多くはないでしょう。

未成年、成人に関わらず、キャッシング利用者というのは貸し倒れになる人が必ず一定数存在します。金融機関はそういった損失分を踏まえた上で営業しています。

学生ローンとしては、今までの実績や経験で、たとえ貸し倒れのリスクがあったとしても、未成年を対象に融資するメリットはあるということなのでしょう。

未成年が契約取消しにすればブラック?

契約の取消しをすれば、契約はもともと無かったことになるので、債務整理のようにブラックリストになるということは、原則的にはありません。

しかし、一旦契約を取消せば、その会社、もしくはその関連会社の利用が将来的に厳しくなるというのは予想できます。デメリットといえば、そのくらいでしょうか。

(参照:ブラックって何?意外な理由にも要注意

まとめ

例えば、中卒や高卒で就職し、社会人になった方などは、未成年ではあっても20歳以上の学生やアルバイトの方よりも十分収入は安定している可能性はあります。

そういった方からすれば現状のカードローンの申込み条件は「不公平」、「理不尽」と思われるかもしれません。

しかし、カードローンのサービスにはいろいろな法律が絡んでおり、現在のような対応になっているということなのです。

(参照:未成年がお金に困った場合どうすればいい?

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