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インターネットでは「ナマポ」とも呼ばれ、若い世代の利用者の増加、さらに不正受給や在日外国人の受給など、世間的にも社会的にも何かと話題になっている「生活保護」です。

景気の悪化や高齢化などの影響ももちろんあるとは思いますが、近年では受給者数が200万人を突破しており、今後も増え続ける可能性はあります。

そういった社会的な問題も多いために、生活保護に対して悪いイメージを抱いているという人も中にはいるかもしれません。しかし、生活保護というのは生活に困ったときに利用すべき「制度」であり、また、憲法第25条でいうところの「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という国民としての「権利」でもあるのです。

また、生活保護はローンのように返済する必要のないお金です、金利などの条件に悩むこともなく、将来に向けて生活を立て直してくれる強い見方ともいえます。

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生活保護を受給するための4つの原則

生活保護は受給していない人の立場からすれば「私たちの税金で生活している」ということになります。貴重な税金を無駄にしないという意味でも、「本当に保護を必要としている人が受給するべき」というのが大前提になりますので、希望すれば誰でもというわけにはいきません。生活保護の原則は大きく分けて4つ存在します。

無差別平等の原則(生活保護法第2条)

まずはこの生活保護の趣旨自体になりますが、上記の憲法第25条に加え、憲法第14条「すべて国民は法の下に平等であって人種、信条、性別、社会的身分または門地により政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」といった憲法に基づいた原則になります。

人種や宗教にかかわらず受給できるというのはご存知かもしれませんが、「すべての国民」ということには、生活に困った理由や経緯なども問われないという意味合いがあります。たとえば「ギャンブルでの浪費」や「お酒で人生を狂わせてしまった」、または「犯罪暦がある」など、「お金に困ったのは自己責任だろ」と言われてしまいそうな事柄でも対象になるということです。

補足性の原則(生活保護法第4条)

・資産が無い状況。つまり、貯金はもちろんですが、不動産、車など「売って現金化すれば生活資金に充てることができるもの」を保有していれば生活保護の対象にはなりません。
・正当な理由があって仕事ができない。たとえば、病気や怪我、精神的な病も対象になります。また、仕事をしている状況であっても、芸術活動や宗教活動など、収入が得られないということをわかった上での活動をしている場合は「仕事ができない」とは認められないので対象外になります。
・ほかの制度で給付金などを受け取れない場合。たとえば、年金などほかの手当てを利用できるのであれば、まずはそっちでということです。

申請保護の原則(生活保護法第7条)

病気や怪我など例外的な事例はありますが、基本的には、生活保護を受けたいという人が自分で申請する必要があるという条件です。

世帯単位の原則(生活保護法第10条)

親族からの援助が受けることができない。生活保護は世帯収入で認可されるものです。国の前に家族同士で助け合うというのは当然といえば当然です。

生活保護の種類

一口に「生活保護」といっても実はいろいろ種類が分かれており、現時点では8種類存在します。8種のなかからどれか1つというものではなく、状況に応じて複数を同時に利用することも可能です。実際に利用されているのは「生活扶助」、「医療扶助」、「住宅扶助」の3つが大部分を占めています。

生活扶助

いわゆる生活費になりますが、衣類や食料など幅広く利用できるので、ほぼ「使途自由」といえますが、近年ではこの手当てをパチンコなどの娯楽に充てている受給者が問題になったりもしています。基本的には生活必需品の利用に留めるべきでしょう。地域や年齢によって支給額がことなります。また、母子家庭や障害者など家庭の状況によって支給額が加算されます。

医療扶助

生活保護の支出でもっとも大きな割合を占めているのがこの医療扶助です。医療内容としては健康保険とほぼ同様のものになりますが、入院費やそこでの食費、また医療施設までの交通費など、幅広い内容が含まれる場合もあるので、ほぼ自己負担なしで治療ができるというものです。ちなみに生活保護を受給するにあたって、国民健康保険の負担もなくなるます。つまり健康保険を所有していない状況になります。

住宅扶助

生活保護の受給には持ち家などの資産が無いということが条件でもあるので、当然のことながら家賃が大きな負担になります。各県で1~3級に等級分けし、さらに世帯数ごとに家賃の支給上限額を設定しています。また、月々の家賃以外にも、引越しの際の敷金や礼金、家屋の補修費としても支給されます。下記が一例になります。

・東京都:1,2級地(単身)53,700円、(2人~6人)69,800円、(7人以上)83,800円。これが全国でもっとも高額な支給額になります。
・富山県:3級地(単身)21,300円、(2人~6人)27,700円、(7人以上)33,200円。これが全国でもっとも低い支給額になります。

家賃自体が地域によって差異があるので当然ではありますが、上記の例でいえば、7人以上の場合は5万円以上も開きがあります。

教育扶助

義務教育期間に必要な費用が支給されるのが「教育扶助」です。たとえば、入学の際に必要な備品類から教材費、給食費、クラブ活動における必要なもの、また、修学旅行の費用、それと併せて毎月の定額が支給されます。必要に応じて学校を支給先とすることも可能です。

義務教育期間、つまり中学卒業までが対象になります。高校以上の場合は、奨学金などの利用や、生業扶助から賄うという方法になります。また、高校を卒業すればある程度は働ける状況ということから、さらに大学へ進学をした場合は生活保護での世帯の範疇から分離させられるので、本人の生活保護の支給のストップやほかの家族の受給額に影響がでる可能性があります。

出産扶助

施設分娩か、居宅分娩かなどにより支給額に差が生じますが、基本的には出産における入院やガーゼなど必要なものなどに対して支給されます。双子の場合は倍額支給されます。また、児童福祉法の入院助産制度という別の制度があり、他に利用できる制度があればそれが優先されるというのが生活保護の原則になるので、現実的には居宅分娩などのケースでしか利用できないものになります。

生業扶助

もともとは生活保護受給者の自立を目指す目的の扶助で、技能習得や就職活動費などの名目のみで受給が可能でした。しかし、2005年から高等学校、高等専門学校、専修学校などの費用としても認められています。入学金や授業料などの学費、教科書代、交通費などが基本になります。修学旅行の費用までは対象にはなりません。

教育扶助が中学卒業までが対象ですが、現実的に今の時代では中卒で採用される仕事は限られています。そういったことから生業扶助で高校までの学費も対象にされたようです。

葬祭扶助

葬儀も「文化的な最低限度の生活を営む権利」の範疇になるということでしょうか。お葬式にかかる費用も受給することができます。他の事例と違い突発的に必要になる可能性も高いので、申請なしで受給が可能です。当然のことですが、自分で葬儀を執り行った後での受給はできません。支払うお金がないという前提になるからです。また、実際の喪主がお金が無いという状況が前提条件になります。

「葬祭」という名目ですが、火葬の処理などの必要最小限のことが支給対象となり、僧侶や戒名などまでは含まれない質素な儀式になります。

介護扶助

要介護者、要支援者が受給できるのが介護扶助です。申請後に認められれば、基本的には現物が支給されます。現物支給という方法が不可能な場合などに限り、現金が支給されます。介護の内容はさまざまで、訪問でのサービスの利用や、施設の利用、介護予防住宅改修などにも利用することができます。また、介護保険の被保険者が介護サービス利用時の1割の自己負担額は介護扶助で補われます。

以上が主な生活保護の条件や種類になり、かなり広範囲の費用をカバーしているということがお分かりいただけたかと思います。しかし、一方で、最低賃金で労働している人よりも生活保護受給者のほうが生活レベルが高くなる現象などが問題となっており、条件面なども今後変化していく可能性は十分考えられます。

モラルなどの問題も孕んでいるので、あまり「上手な利用法を!」と声を大にして言えない部分もありますが、申請して初めて利用できる制度になりますので、知っていればいざというときに役に立つかもしれません。

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