「個人再生」も債務整理の方法の一つになりますが、2001年に制定されたまだ歴史の浅い制度です。名称から内容がつかみにくいですが、債務整理を検討している人の状況によっては最善の選択肢にもなりえるので、把握しておいたほうがいいでしょう。

個人再生を選択すべき状況とは

借金に対する返済が困難になり、債務整理をしたいが、所有しているマイホームを手放したくないので「自己破産」はしたくない。安定した仕事に就いているので、全く返済できないわけではない。といった人にとって都合がいいのが「個人再生」ということになります。また、債務の上限は5,000万円まで(住宅ローンを除いて)になるので、それ以上債務がある場合には対応できません。

返済額が少なく済むのですが、「返済」の義務があるので、無職の人は個人再生をすることはできませんが、新しい職場に内定しているということであれば可能性はあります。仕事をしていない、収入のあてが無いという場合は「自己破産」の方法があります。

個人再生した場合の返済額

返済はゼロにはならないが、かなり負担が減る

自己破産の場合は、返済が完全にゼロになるので、ある意味非常にシンプルな制度ですが、個人再生の場合ある程度は返済しなければならないので、認可後に幾ら返済しなければならないのかをあらかじめ把握する必要があります。また、個人再生としての返済とは別に住宅ローンが残っていればそれも返済する必要があるということも忘れてはいけません。

個人再生は申し立て者の状況により「給与所得者等再生」と「小規模個人再生」の2種類に分かれます。

給与所得者等再生とは

給与所得者等再生とは、企業の正社員など、長期的に安定した収入の見込みがある方が対象となるもので、自営業者やパートやアルバイトの人は対象になりません。債権者の同意が不要というメリットがある反面、小規模個人再生よりも高額な金額になってしまう可能性もあります。小規模個人再生とこの給与所得者等再生どちらかを選べる可能性もあるので、弁護士などに相談して判断したほうがいいでしょう。

給与所得者等再生の返済額

税金や社会保険料などを差し引いた手取額の2年分を支払う必要があります。

小規模個人再生とは

自営業者やパートやアルバイトなど比較的収入が安定していない方が対象になるのが小規模個人再生です。個人再生をする上で、債権者の同意が必要になるので同意が得られない場合は認可されないということになりますが、一般的な金融機関であれば同意しないということはあまりありません。収入が安定している人でも小規模個人再生を選択できる可能性もあります。

小規模個人再生の返済額

住宅ローン以外の債務がどれだけあるかによって返済額がきまります。

・債務が100万円以下/返済額100万円
・債務が100万円以上500万円未満/返済額100万円
・債務が500万円以上1,500万円未満/債務の20%が返済額
・債務が1,500万円以上3,000万円未満/返済額300万円
・債務が3,000万円以上5,000万円以下/債務の10%が返済額

上記のように、例えば債務が150万円でも500万円でも返済額は同じ100万円になるので、債務額によって利用価値に差があるのも事実です。しかし、5,000万円の債務が500万円の返済で済むというのはかなり大きな負担軽減といえるでしょう。最低でも100万円は返済の義務があるということからも、どちらかというと高額の債務がある人に向いている制度といえるかもしれません。

清算価値保証原則

上記に記載したまでが全ての条件なら個人再生はかなり債務者側に有利といえますが、「清算価値保証原則」という決まりがあり、返済額以上の価値の資産を所有している場合はその資産価値分の額を返済する必要があります。

例えば、上記の「小規模個人再生の返済額」に倣えば、債務が300万円の場合、個人再生することによって100万円の返済で済むというのが基本ですが、清算価値保証原則に従うと、例えば300万円の価値の車を所有していた場合は返済額は300万円になるのです。住宅などの不動産も同様です。住宅ローンの返済状況とその家の価値のバランスによって返済額に大きく影響する場合もあり、状況によっては「自己破産の方がお得」ということになる可能性もあるので、資産がある場合に個人再生をする場合は注意が必要です。

個人再生の返済方法

返済期間

裁判所から認可されれば、再生計画案に沿って返済を開始するのですが、基本的に期間は3年間で支払っていくというかたちになります。しかし、5年間まで延長できるので、実質36回から60回払いの金利無しということになります。再生計画案の返済が予定通り終われば、残りの債務が免除されるということです。

返済の配分

個人再生をするケースでは借り入れが1ヶ所以上はあるでしょう。例えば合計2社の場合、A社から300万円、B社から100万円の借り入れがあったとします。トータルで400万円になります。400万円の債務の場合は100万円が個人再生での返済額になるので、A社:B社=3:1の配分で返済をします。つまり、A社に75万円、B社に25万円を3年をめどに返済するということです。

個人再生の流れ

弁護士などのプロに依頼したほうがお得になる場合も

例えば「自己破産」などではその費用を少しでも抑えるという目的で、弁護士などに依頼せず自分で手続き、申し立てを行うという選択肢もありますが(簡単ではありません)、個人再生は代理の弁護士がいない場合、別途裁判所に再生委員のための費用として20万円前後請求される場合もあります。つまり、よほどこういったことが得意だから自分でやりたいということでなければ、その金額を弁護士にまわした方がいいということになるのです。もし弁護士費用を20万円以下に収めることができればむしろ費用的にもお得なのです。

手続きから申し立て、認可までの流れ

まず、弁護士に依頼するにしてもある程度は無料相談などで概要を確認しておいたほうがよいでしょう。そして、実際に個人再生の申し立てをするということになった場合、まずその弁護士との契約をします。

弁護士と契約が完了すれば、弁護士は債権者に「受任通知」を送り、債務に対して法的な処置をとるということを債権者に知らせます。債権者がその通知を受け取れば、これ以上取り立てができなくなります。債務者にとってはプレッシャーから開放される瞬間というわけです。

そして、弁護士の指示を仰ぎながら現在の債務状況をまとめ、裁判所に提出するための書類の作成をし、地方裁判所に個人再生の申し立てをします。

裁判所で申し立てが受け付けられれば、再生計画案を作成して今後の返済計画を提示します。その後小規模個人再生であれば債権者の同意を得るという流れになります。

問題なく裁判所から認可をもらうことができたら、返済をスタートします。受け付けから全ての処理が終わるまでの期間はおよそ数ヶ月から半年が目安になります。

個人再生するための費用

個人再生をする場合、基本的な裁判所の費用として2万数千円かかります。それプラス弁護士などの費用ということになりますが、前述のように弁護士などの代理人がいない場合は裁判所が「再生委員」を選任する場合もあり、その場合は20万円ほど別途裁判所に対して支払う必要があります。

個人再生における一般の弁護士、司法書士費用

一般の弁護士を利用する場合は、その弁護士事務所の規定の料金を支払うことになりますが、各事務所で違いがありますが、だいたい30万~50万円くらいが相場です。
司法書士は弁護士のように代理人にはなってくれないので裁判所に自分で行って手続き等を行う必要がありますが、20万~30万円ほどに抑えることができます。手続きに数ヶ月かかるので、仕事をしている一般の人が司法書士を利用して解決をするのは容易ではないでしょう。

法テラスの弁護士を利用した場合の費用

個人再生での法テラスの弁護士費用は、おそよ20万円弱になり、一般の弁護士よりもなかり安価に抑えることができる可能性があります。支払い方法も、月数千円からの分割払いや、支払い自体を据え置いてくれたる可能性もあります。無料の相談から始まり、実際の弁護士費用も安価なので、金銭的にも負担の少ない方法といえます。また、法テラス経由で司法書士を利用すればさらに費用は安くなります。

個人再生のその他の特徴

マイホーム以外の資産も没収されない

マイホームをそのまま維持できるということはすでに述べましたが、自己破産のように車など所有している資産を没収されるということはありません。

ハードシップ免責

個人再生は返済額の減額という、債務者にとってはかなり都合のよい制度になりますが、一旦提出した返済計画に沿って必ず返済を実行していかなければなりません。しかし、状況の変化よって返済が困難になれば、一回あたりの返済の減額や返済期間の延長などが認められる場合もあります。また、左記の対処でも厳しいということであれば残りの返済全てが免責になるという「ハードシップ免責」という措置がとられます。

ハードシップ免責が認められるには、裁判所に提出した再生計画案の4分の3以上は支払い済みであることがまず条件になります。そして本人の故意ではない事情(たとえば病気、怪我、会社の倒産、災害など)と認められる場合に限られます。他にも細かい規定があり免責になることは容易ではありません。ハードシップ免責を利用する場合は個人再生を申し立てたのと同じ裁判所に申し立てする必要があります。また、もともと個人再生の対象外の住宅ローンにはハードシップ免責は適用されません。

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