116
「自己破産」とは、ローンなどの借金が増えすぎて返済ができなくなってしまったという場合に行う法的手段ですが、「破産」というその言葉の雰囲気からなんとなく「全てを失い、二度と普通の人生を歩めなくなる」といったかんじに捉えている方もいらっしゃるかもしれません。

確かにメリットばかりではない手段になります。しかし、こういった対策をとらずに借金苦で自殺をしてしまう例もあるということを考えれば、「自己破産」は未来への新しいスタートの第一歩として前向きに捉えることもできます。国民が生活を守るために利用することを前提に作られた法的手段です。言い換えれば、必要に応じて利用できる権利でもあるのです。

実際、以前に比べれば国内の自己破産の件数は減ってきているものの、現在でも毎年およそ10万件が自己破産になっているのです。

スポンサーリンク

自己破産を選択すべき状況とは

他の債務整理の方法と違い、自己破産は完全に借金をゼロにできるものです。その反面、資産が没収されるというもので、例えばマイホームや車などを手放したくないが債務整理をしたいという方にはおすすめできません。ほかの任意整理や民事再生などの方法をとるしかありません。

そういった資産が無い(もしくは失ってもよい)という状況で、とにかく「返済」というものから完全に開放されたいという場合に行うのが「自己破産」なのです。

自己破産の主な特徴

自己破産をすることができる条件

自己破産は希望すれば必ずできるというわけでもありません。自己破産の免責は裁判所の判断になりますが、基本的には多額の借金があり、それに対する収入が少なすぎる(もしくは無収入)というのが基本になります。しかし例えば「300万円以上の借金に対して年収が250万円以下なら自己破産OK」といった明確な基準があるわけでもありません。

自己破産できないケース

基本的には裁判所が申し立て者に対して、何らかの不正の可能性があると判断した場合には自己破産が認められない場合があります。例えば、自己破産後に資産や現金などを没収されないようにあらかじめ隠したり、提示した報告内容に虚偽があったりした場合です。また、過去10年間にすでに自己破産をしたことがあったり、故意に多額の借金を抱えているような状況が認められた場合なども同様です。

全てのローンに対して適用される

上記でも少し触れましたが、例えば「持ち家があって住宅ローンを返済している最中」という場合に、「この家には住み続けたいから、住宅ローン以外の借金だけ処理したい」ということはできません。

自己破産後の収入は普通に利用できる

今まで、収入のほとんどを返済に充てていたという状況で、手元に残るお金というのはほんのわずかだったかもしれません。しかし、自己破産の後ではお給料がまるまる自分の手元に残るわけです。これが自己破産することの一番のメリットと言えるかもしれません。

没収される「資産」とは

自己破産というと、「何もかも失って、ゼロからのスタート」というイメージがあるかもしれません。しかし、極端な話、いきなり裸で路上に放り出されても人間は生きていけません。ある程度の物は確保できるのです。

持ち家は資産価値が高いので、ほぼ確実に没収されますが、総資産で99万円まで確保でき、価値として一つ20万円以下のものは没収されません。また、生活や仕事の上で必要なものは没収されません。ですので、例えばテレビや冷蔵庫、エアコン、パソコンなどの基本的な生活家電はそのまま残るので、もともと賃貸住宅に住んでいる場合は自己破産をしたということをむしろ実感しにくいくらいかもしれません。

一つ20万円以上の価値がありそうなものといえば、宝石類のアクセサリー、高級ブランドの時計などでしょうか。むしろ「無くても生きていける」ものといえるかもしれません。

車は必ずしも没収されるわけではない

車は確実に失うと思っている方も多いかもしれませんが、上記で述べたように20万円以上の価値が無ければ没収されないので、古くて価値の低い車なら没収されない可能性があります。20万円というのは中古での査定価格なので、おおよその見当は自分でもつけることができるかもしれません。しかし、例えば21万円の価値の車なら必ず没収されるかというと、そうでもないようで、多少はケースバイケースの判断があるというのが実情のようです。

自己破産の流れ

何から始めればいいのか

自己破産の申し立てをする場合、実際ほとんどの人が弁護士に依頼して行っています。やろうと思えば自分でできないことでもありませんが、今後の人生を左右することでもありますし、借金苦の状態でどれだけ冷静に判断して行動できるかということを考えれば、やはりプロに依頼するほうが間違いがないといえるかもしれません。

すでに利用している弁護士などがいない場合なら、まずは「法テラス」などの無料で法律相談できるとことに問い合わせをしてみるのがよいでしょう。そこで、まず現在の状況で「自己破産」が自分にとって最善の方法かどうかというところから話が始まります。

その他の無料で法律相談できる窓口の中には悪徳弁護士なども存在している場合もので、インターネットや新聞広告などで見知らぬ弁護士事務所に依頼する際には注意が必要です。

手続きから申し立て、免責までの流れ

無料相談などを経て、実際に自己破産の申し立てをするということになった場合、弁護士を利用するのであれば弁護士との契約をします。

弁護士と契約が完了すれば、弁護士は債権者に「受任通知」を送り、債務に対して法的な処置をとるということを債権者に知らせます。債権者がその通知を受け取れば、これ以上取り立てができなくなります。債務者にとってはプレッシャーから開放される瞬間というわけです。

そして、弁護士の指示を仰ぎながら現在の債務状況をまとめ、裁判所に提出するための書類の作成をし、地方裁判所などに自己破産の申し立てをします。

裁判所で申し立てが受け付けられれば、破産手続きを経て、債務が免責されます。その間、裁判所に呼び出され、裁判官から経緯や内容を質問されます。資産の有無などにもよりますが、受け付けから免責まではおよそ数ヶ月から半年の期間になります。

自己破産するための費用

自己破産をするときに弁護士に頼むということは、「楽」で「確実」というメリットがある反面、デメリットは「費用がかかる」ということです。債務者にとって最大の問題はお金ですから、ある程度の相場や支払い方法は重要な課題となります。

まず、裁判所に支払う料金が約1万円5千円になります。さらに、債務者に資産がある場合は「小額管財」または「管財事件」という扱いになる場合もあり、裁判所に20万~50万円を納める必要があります。それらプラス以下のような弁護士費用が必要になります。

自己破産における一般の弁護士費用

一般の弁護士を利用する場合は、その弁護士事務所の規定の料金を支払うことになりますが、各事務所で違いがありますが、だいたい20万~30万円くらいが相場です。支払い方法も各事務所によって様々ですが、もともと利用者がお金に困っているというのは明白なので、分割での支払いや、仕事に就いていないということであれば、就職後からの支払いに対応してくれたりとさまざまなケースが想定されます。依頼前の相談は無料で対応してくれることが多いので、料金などをある程度明確にしてから利用することもできます。

注意点としてはインターネットなどでとにかく一番料金が安い弁護士事務所を探してそこに依頼するという方法です。中には料金の安さを売りにして、料金だけ受け取ってまともに対処しないというような弁護士も存在します。そうなれば別の弁護士に改めて依頼するしかないという状況になり、結果的に高くついてしまう場合もあります。

法テラスの弁護士を利用した場合の費用

自己破産での法テラスの弁護士費用は、おそよ15万円ほどになり、一般の弁護士よりもなかり安価に抑えることができる可能性があります。支払い方法も、月数千円からの分割払いや、支払い自体を据え置いてくれたる可能性もあります。無料の相談から始まり、実際の弁護士費用も安価なので、金銭的にも負担の少ない方法といえます。

自分で自己破産を行う場合

弁護士の費用が掛からないので、当然のことながら一番安価な方法が自分で自己破産をするという方法です。借り入れ件数などのもよりますが、数万円から10万円以内に抑えることができる可能性があります。

まずは相談を

「自己破産」やそれに対する「弁護士の費用」などに関して、現実とは異なる思い込みをしている方も多いのではないでしょうか。そして「自分にはできない」と正確な内容も知らずに決め付けているのであれば、改善できる問題も改善できなくなります。

借金に困ったら、まずは無料で信頼できる窓口も多いので、自己破産をするべきか、そしてその結果どんな不利益があるのか、費用的に実際弁護士を依頼できるのかということを明白にするべきなのです。自分で思い込んでいた状態よりも希望が持てるようになるかもしれません。

スポンサーリンク